|
■『戦旗』1651号(2月5日)4面 24春闘 階級的労働運動を前進させよう 物価高騰―生活破壊に対し 大幅な賃金引き上げを勝ち取ろう 岩崎 明 物価の高騰に対して、世界の労働者はストライキをはじめとした闘いで賃金の引き上げを勝ち取っている。アメリカでは、全米自動車労働組合(UAW)が一カ月以上にわたるストライキを行い、四年半で25%の賃金引き上げの暫定合意を勝ち取るなど、闘いによって賃金引き上げを実現している。一方、日本では約三〇年近く賃金が上がっておらず、昨年の23春闘は三〇年ぶりの大幅な賃金引き上げだと言われているが、実質賃金は下がり続けている。つまり、昨春闘の賃金引き上げは、物価上昇に追い付いていなかったのだ。 24春闘では、物価上昇を上回る賃金の大幅引き上げを求めて闘うと同時に、未組織労働者の組織化などの闘いを同時一体的に闘おう。 ●労働者を組織し、労働者階級の闘いを前進を 24春闘では、第一に、物価の高騰に対して、賃金の大幅引き上げを求める闘いを組織しよう。 実質賃金は、二〇カ月連続でマイナスとなっている。物価高に賃金引き上げが追い付いていない。大幅な賃金の引き上げを勝ち取ること抜きには物価上昇に追い付かないことは明らかだ。 労働者人民が物価高で生活に苦しむ一方で、企業は内部留保を一一年連続で増やし、約五五五兆円(二〇二二年度。金融と保険を除く)にもなっている。大企業が、賃金の引き上げや下請け企業への支払いにお金を回さなかった結果だ。 連合は、24春闘では「5%以上(ベースアップ相当分として3%以上。定期昇給分を含めて5%以上)」の要求だ。昨年23春闘での「5%程度」という表現よりも強めたものとされているが、定期昇給分を除けば、3%ということであり、実質賃金の目減りや物価上昇を考慮すれば、十分とは言えない。既に大手企業では、賃上げ促進税制との関係で、早々と「7%」の引き上げを表明している。春闘が本格的に開始される前に、連合の要求は全く影の薄いものとなってしまっている。 こうした中で、全労協やけんり春闘実行委をはじめとした闘う労働組合は、「誰もが安心して働ける職場・暮らせる社会の実現を!」などを掲げて、物価上昇を上回る大幅な賃金引き上げを目指して闘いを開始している。こうした闘いを支持し、24春闘を粘り強く闘おう。 第二に、24春闘の中で、大企業と中小企業の賃金格差、正規雇用と非正規雇用の賃金格差、男性と女性の賃金格差の解消に向けた闘いを推進しよう。厚労省の賃金構造基本統計調査によれば、一般労働者の賃金の男女計は月額三一万一八〇〇円(男性三四万二〇〇〇円、女性二五万八九〇〇円)。男女賃金格差は、男性を100とした場合、女性は75・7にとどまっている。企業規模別にみた賃金では、大企業三四万八三〇〇円、中企業三〇万三〇〇〇円、小企業二八万四五〇〇円。大企業を100とした場合、中企業で87、小企業で82。雇用形態別にみた賃金では、正社員三二万八〇〇〇円に対し、正社員以外は二二万一三〇〇円。正社員を100とした場合、正社員以外は67にとどまっている。国税庁の民間給与実態統計調査によれば、一年を通じて勤務した給与所得者で、年収二〇〇万円以下は、男性で約二七二万人、女性で約七七三万人、合計約一〇四五万人もいる。失業・半失業者を入れれば人数はさらに増えることになる。こうした賃金格差を是正し、誰もが生活できる賃金を獲得していくことが必要だ。24春闘では、低賃金労働者の底上げを重視し、粘り強く闘おう。 第三に、低賃金労働者の賃金引き上げのためにも、最低賃金の引き上げを求めて闘おう。最低賃金一五〇〇円以上を目指し、今春、最低賃金の「再改定」を求める闘いを進めよう。昨年秋の最低賃金の改定で、全国加重平均が一〇〇〇円を超え一〇〇四円になった。あくまで加重平均が一〇〇〇円を超えただけで、一〇〇〇円を上回るのは八都府県しかない。時給一〇〇〇円を超えたからと言って、安心して生活できる賃金とは言えない。労働者の最低賃金引き上げを求める声を受けて、岸田首相も昨年八月に「最低賃金一五〇〇円」を言わざるをえなくなっているが、それは「二〇三〇年代の半ば」というものだ。最低賃金一五〇〇円への引き上げを先延ばしさせるわけにはいかない。直ちに一五〇〇円以上を求める活動を強化しよう。 また最低賃金の最高額の東京都一一一三円と最低の岩手県八九三円とでは、二二〇円もの開きがある。物の値段や生活費に大都市と地方との間に大きな差は無いと言われている。この賃金差はそのまま地方から大都市へと若者が流出する要因にもなっている。こうした最低賃金の地域間格差を無くし、全国一律最低賃金一五〇〇円以上を目指す闘いを進めよう。 第四に、未組織労働者の組織化を進めよう。非正規雇用労働者は、全労働者の四割近くを占めるに至っている。その多くが未組織労働者だ。労働組合の組織率は、16・3%にまで下がった。パートタイムの労働者の組織率は8・4%。民間企業で働く五五七〇万人の内、一〇〇人未満の企業で働く労働者は二四四二万人もいるが、この企業規模での労働組合の組織率は、0・8%にしかすぎない。つまり、パートタイム労働者をはじめとした非正規労働者、中小零細企業で働く労働者の多くは、労働組合に組織されておらず、実質的に春闘とは関係のない状態に置かれている。こうした状況を突破していくためには、何よりも未組織労働者を労働組合へと組織していくことが必要だ。 第五に、労働組合つぶしの権力弾圧と闘おう。権力・資本による連帯労組関生支部の組織解体攻撃、資本によるスラップ訴訟など、闘う労働組合へのさまざまな弾圧が続いている。歴史が証明するように、もの言う労働組合を弾圧することは、戦争へと突き進む国家の常とう手段だ。闘う労働組合、闘う労働者人民を防衛し、弾圧に対する反撃の闘いを強化しよう。四月七日には関生弾圧に対する全国同時アクションが呼びかけられている。こうした闘いに立ち上がろう。 第六に、労働法制の規制緩和、改悪を許さない闘いを進めよう。岸田政権は昨年六月一六日「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定した。その中で「三位一体の労働市場改革」(「リスキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動の円滑化」)による構造的賃上げの実現を目指すとした。しかし、これらは解雇の金銭解決や労働時間法制の規制緩和・裁量労働制の拡大、雇用によらない働き方への誘導など、労働者を保護する労働法制の規制緩和・解体につながるものに他ならない。また、厚労省は昨年一〇月二〇日に「新しい時代の働き方に関する研究会」の報告書を公表した。この中で、労働基準法について「多様性の重視に立って、時代に合わせた見直しが必要」と、改悪の意思を示している。労働法制改悪阻止の闘いを継続して闘おう。 第七に、岸田政権の進める改憲・大軍拡・大増税・戦争体制構築と闘い抜こう。何よりも軍事費の倍増―敵基地攻撃能力の保有をはじめとした大軍拡との闘いや、日米・日米韓軍事演習反対、辺野古新基地建設阻止、琉球弧のミサイル基地化阻止、岩国基地強化反対をはじめとした反戦反基地闘争の強化。老朽原発再稼働反対、汚染水の海洋放出反対など原発反対の闘い。気候変動―地球温暖化阻止の闘い。万博反対。三里塚空港反対など、全人民的政治闘争に労働者人民を組織しよう。 第八に、地域ユニオン、産業別・業種別労働組合のそれぞれの活動を前進させると共に、地域ユニオンを横糸に、産業別・業種別労働組合を縦糸にした共闘構造を各地につくり、さらにそれを大衆的政治闘争と結びついたものとし、各地で階級闘争の構造建設を進め、もって階級的労働運動の前進をかちとろう。 24春闘では、以上のたたかいを全力で闘い抜こう。 |
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.